動物取扱責任者研修に行ってきました

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みなさん

こんにちは。
9月に入り、早くも中旬となりましたね。
朝晩は特に涼しく感じますね。

先日、平成28年度の動物取扱責任者研修を受けてきました。

今回のテーマは大きく2つ
①動物の問題行動はなぜ起こる?
②動物を飼養管理する際のにおいの基礎と対策について
でした。

特に①のテーマは私も以前から関心があり、とても興味深い内容でした。
日本獣医生命科学大学獣医学部
准教授 水越美奈 先生による講義で、問題行動を行動学見地から研究なさっている先生です。
実際の事例を織り交ぜ、とても理解しやすくお話し下さいました。

そもそも、問題行動とはどういった事でしょうか…

例えば
お客さまや他の動物に吠え続ける
棚に置いてあるものを落とす
トイレで排泄をしない
家具や壁などを破壊してしまう
噛み付く
人間のご飯を取ってしまう
などなど…この他にも悩ましい行動に困っている方もいらっしゃるでしょう。

アメリカで1970年代から1980年代、350〜1500の飼い主さんを対象に調査をしたところ、25〜42%の飼い主さんが犬の行動に問題を感じているという結果があったそうです。
(犬と猫の行動学より)

とは言え、問題行動とは人間側が困ってしまう行動であり、動物にとっては自然で本能に従って行動しているだけの事も少なくありません。

それでも、現在では住宅密集地やマンションでペットちゃんと暮らしている方も多く、近所迷惑になってしまったり、苦情を寄せられたりとトラブルの種になりかねません。

では、問題行動はなぜ発生するのでしょうか…
原因については、個体によって異なってくると思いますが

大きく2つの原因があるようです。

※問題行動の原因
①生得的因子(生まれつき持っている場合)
●脳の器質的障害(水頭症など)
●中枢神経の機能障害
●両親の気質(遺伝的要因)

②習得的因子(生まれてからの経験による)
習得的因子は更に2つの過程に分けて考える事ができるそうです。

a.出生から飼い主の手に渡るまで
・妊娠期の母親のストレス
・母性行動の質と量
・十分な同種との交流(母親や兄弟、社会化)
・出生から発育期を通じて子育てに補助的に関わる人間の影響
人間からの影響として 具体的には
:管理栄養不足(発育期に必要な栄養をあげていない)
:温度、衛生、騒音などストレス環境(落ち着いて子育てができない環境)
:心的外傷(虐待やネグレクト)
:身体的健康の障害(感染性疾患や外傷)
:行動的制約(本来の行動が自由にできない)

b飼い主に渡って以降
・飼い主とのミスマッチング
・不適切な飼育管理と社会化、馴化不足(飼い主の知識不足)
・飼い主との関係構築の不備(誤った優位性理論の認識)
・対応に一貫性がない
・嫌悪刺激を用いる
・問題行動の「芽」を見過ごし放置

平成28年度動物取扱責任者研修資料より抜粋

問題行動をされると、ついイラッとして怒ってしまう…
という事もあろうかと思います。

ただ、その仔が悪いとは言い切れないですよね。
例えば、生まれながらに障害を持ってきた仔に罪はありませんものね。
むしろ、人間の方が補助してあげる事が必要でしょう。

両親が不安な環境で出産、育児をしていた個体はナイーブで臆病な性格的傾向があり、これは親から遺伝される、という研究結果が出ているそうです。
もちろん、現在はこのような生体実験は行われていません。
わざわざ研究のために、劣悪な環境で育てることは虐待に当たります。

とは言っても、現在の飼い主さんに迎えられる以前の飼育環境がどの位整っていたのか…
実際には知らされない事の方が多いですね。
更に、その時期に遡る事はできない…

それでも、今からでも、私達にもできる事はあります。

まずは、きちんとその種の性質を知って責任をもって終生育てられるか、知識を持って迎え入れる事はできます。
子供の頃は独特の可愛いさがあります。
一瞬の判断はその仔の一生に責任を持つ覚悟が伴います。

例えば
若いジャックラッセルテリアはそれ程大きな体ではありませんが、必要な運動量は大型犬に匹敵するほど大変なものです。
1日、1回もしくは2回、1時間から2時間、お散歩へ連れて行ってあげられるか?
たまに、お散歩に行けない事があっても良いと思います。
ただ、これが1週間に1回か2回しか行けないのであれば、もっと運動量が少なくても大丈夫な年齢または犬種を迎えた方が、お互いのためですよね。
運動不足による問題行動のエスカレートが考えられます。
アクティブに一緒にランニングしたり、思いっきり遊んであげられれば、ジャックラッセルは最適のパートナーになるでしょう。

また、生まれてからどの位の期間でどのような成長をするのかを調べる事もできます。
現在、生体販売において、親元から49日間は離すことができない法律になっています。
お迎えする時期の週齢はどの位でしょうか…月齢は…
その時期に必要な物は…ベッドやケージ、サークル…
適切な形、大きさ、行動スペース、トイレの位置は…
社会化としてどんな経験が必要なのか…いろんな人や他の動物、あらゆる音、動く物など慣れさせてあげるなど…

これらは、その仔が本能的に持っている気質や体の大きさ、性格によっても異なってくると思います。
試行錯誤し、迷ったり悩んだりする事も多々あろうかと思います。
それでも、かけがえの無い共同作業の時間とも言えそうです。
最初から全く問題行動をしない仔がいたら、それはその事自体が問題です。

そして実は、私も陥っていたのですが、特にワンちゃんとの関係性において
人間が常に優位的立場を保たなければいけない。
人間がワンちゃんを支配的に従属させる事が適切な関係性を構築するのだと…
思っていました。

今でもそう信じている方は多くいらっしゃいます。
狼は群れという社会を築き、そこにはリーダーが存在した。
この本能的考え方は間違っていません。

しかし、必要以上に支配的で威圧的な態度は、家庭犬において適切な関係の構築とはならない場合があります。
良い関係性を作れたという経験をお持ちの方もいらっしゃる事は事実です。
ですが…この考え方には、陥りやすい落とし穴と誤解があるように思います。

例えば
人間の靴下などを齧ったら…困りますよね
だから「ダメダメダメダメ!これは嚙っちゃいけないの!この間も教えたでしょ!」なんて怒って取り上げますよね。
では、その仔が自分のオモチャを齧ったら…それはあなたのオモチャだから当たり前
だから…怒る事も、褒める事もしない。
そんな事はありませんか?

犬からしたら靴下もオモチャも楽しそうな物。
しかも、靴下を齧ったら必ず飼い主さんが追いかけて来て、声をかけてくれて、遊んでくれる!
オモチャ齧っても構ってくれない…
となれば、オモチャより靴下を選ぶのは当然です。

人間は怒っているつもりでも、声のトーンが高かったり、畳み掛けるように言ってしまいがちです
動物は残念ながら、人間が話す文脈までは理解していません。
むしろ、同種同士のじゃれ合いに近いと思います。

して欲しく無い行動を取った時に叱る必要はあるでしょう。
その時は、文章では無く単語で指示します。
「これは嚙っちゃダメなんだよ!」ではなく「ダメ!」
興奮しないように静かに落ち着いた声で言います。
して欲しく無い行動を辞めたら直ぐに褒めてあげます。
必ず正解の行動も教えてあげるのです。
あれもこれもダメ!だけでは正しい行動は解りませんものね。

私も含め、人間は動物がして欲しく無い行動に対してリアクションしている事が多く、叱る時だけ威厳を示そうとします。
また、叱られる時もあれば、叱られない時もある…
となると動物の混乱は更に進む事でしょう。
これは、むしろ望む行動と反対の結果を生み出します。

問題行動を作っているのは、人間側の問題という事が多いのです。

問題行動を改善していく事はできます。
時間と労力はかかります。
魔法のような一瞬で改善という方法は危険性が高いです。
地道にコツコツと積み重ねていくような態度の一貫性が必要です。

それから、なるべく不快なストレスが無い生活環境を整えてあげる事も大切です。

1960年代に家畜福祉向上の基本として定められた「5つの自由」をご紹介します。

5つの自由

1:餓えと乾きからの解放
正しい食事管理と新鮮な水の保障
2:不快からの解放
清潔で心地よい住環境の保障
3:痛み、怪我、病気からの解放
疾病予防、早期発見、治療の機会の保障
4:恐怖と絶望からの解放
恐怖や精神的苦痛を与えられない保障
5:正常な行動を示す自由
その動物がもつ生来的行動をとる事の保障

平成28年度動物取扱責任者研修資料より抜粋

「5つの自由」は適正飼育を考える上で、必ず守らなければならない最低基準であり、その仔をお迎えした時から最期を迎えるまで保障されるべきもの、と水越先生は話してくれました。
私も、これを読んでくださっているみなさんも、共感していただける事と思います。

今一度、我が子の生活環境を省みてより良い生活を送ってもらえるよう、考え、私自身も行動し続けようと思います。

本日は長くなってしまいました。
最後までお読みくださり、ありがとうございます。